2012年11月9日金曜日

ラティーノ票の動向、スペイン語新聞、アメリカ大統領選

11月6日午後5時、大学院の授業を終えて帰路につく。
キャンパス前の地下鉄の駅から自宅最寄の駅までは約20分。そこから、10分ほど歩いて自宅アパートへ向かう。その道すがら、いつも通りがかるスーパーマーケットの入口前で、ラティーノの少年が板チョコを売っていた。12歳くらいだろうか。
ふだん大人の物売りには足を止めないが、少年ということもあって、自然と板チョコを一枚買った。

「いくらなの」
「一枚なら3ドル、二枚なら5ドルです」
「じゃあ、一枚もらうね。ワン、トゥー、スリー。はいどうぞ」
「種類はどれにしますか。キャラメル味やクランチがあります」
「じゃあ、クランチ」

少年は抱えた箱の中から、板チョコを一枚取り出して、僕に手渡した。はたして今夜どれだけ売り上げがあるだろうか。ファストフードなら3ドルあれば一食分は食べられるだろうなどと考えながら、板チョコを手に少し歩くと、同じスーパーの別の入口前で、15歳くらいのアフリカ系の少女が別のチョコレートを売っていた。

アメリカ大統領選、投開票日の夕方だった。

自宅に到着し、さっそくテレビ観戦。
選挙結果は、接戦になるという事前の予想に反して、オバマ氏の圧勝だった。
オバマ氏はヒスパニック・ラティーノを中心に人種・エスニック少数派や女性らから幅広い支持を得た。オバマ氏が連呼していた「middle class(中産階級)」の増加という主張も響いたのだろうか。

翌日7日の夜、ロサンゼルスで毎日約40万部を売り上げるというスペイン語新聞「La Opinión」 を購入した。ドラッグストアの前に新聞販売用の箱がいくつか置いてある。それに25セントコイン2枚を入れて、最後の一部を取り出した。

一面は、選挙結果を受けてシカゴ市の会場で登壇したオバマ大統領とその家族の写真だった。
見出しは「¡Cuatro Año Más!(4年、再び!)」。
記事の書き出しは「Fue el momento que todos esperaban(すべての人が待ち望んでいた瞬間だった)」と、オバマ氏への強い支持を示していた。

大統領選投開票日翌日のスペイン語新聞La Opinión

関連記事では「El voto latino con Obama(ラティーノ票、オバマとともに)」と題して、ラティーノ票の動向調査の結果を掲載していた。

「オバマ大統領は、全国のラティーノ有権者の75%という記録的なレベルの支持を得ており、1990年のクリントン氏の72%を超える歴史的な数字だ」

全国のラティーノ票の75%がオバマ氏に、23%はロムニー氏に向かったという。
ラティーノ有権者が関心を持っている政治テーマは、それぞれ雇用(53%)、移民政策(35%)、教育改革(20%)、健康(14%)という結果だったという。

この調査は、新聞社が民間調査会社に委託して、投票日前の11月1~5日、期日前投票した、もしくは、当日6日に確実に投票する予定のラティーノ計5600人の投票先を電話で調査したとのことだった。

記事の最後には、全国のラティーノに投票を呼び掛ける市民団体「Mi Familia Vota」事務局長のコメントが紹介されていた。「これで移民政策改革や移民問題を解決しないといけないということに、政党も政治家も気付くときが来たと思う」

ラティーノ少年から買った板チョコを食べながら、しみじみ読んだ。

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