2012年11月17日土曜日

リトル・エチオピアで昼食、スパイス効いた移民の味

「アムハラ語って知っている?」と妻が言う。
もちろん、知らない。

「午前6時が、午前0時なんだって。だから、お昼が午前6時なんだって」
もちろん、意味がわからない。

妻によると、アムハラ語はエチオピアの公用語で、独自の文字も持っているらしい。
また、エチオピアでは午前6時を午前0時としているらしい。

こうした話をなぜ妻が教えてくれるかというと、彼女が通う英語教室の仲良しがエチオピア出身の女性だからだ。
英語教室では出身国や年齢が異なるさまざまな外国人が一緒に勉強している。
妻は特にエチオピア、インドネシア、中国、メキシコから来た女性らと仲良しで、英語教室の後は自主的に集まって、ヨガを楽しんだり、スペイン語を勉強したりしているらしい。

エチオピアはおもしろい、ということで、エチオピア料理店が集中しているロサンゼルス市内のリトル・エチオピアに妻と出かけた。

200メートルくらいの通りの両側に、エチオピア料理店やエチオピア輸入品店などが並ぶ。
輸入品店に入ると、エチオピアの音楽CDやアムハラ語の書籍だけでなく、さまざまな香辛料などの食材も並んでいる。なによりも、店内の人々の会話から聞こえるアムハラ語が、この町の雰囲気に欠かせない要素だ。

リトル・エチオピアがあるフェアファックス(Fairfax)通りは交通量も多い=ロサンゼルスのリトル・エチオピア、2012年11月11日撮影
料理店などの評価サイト「Yelp」で調べたエチオピア料理店「Rosalind's」へ。
とにかく、エチオピア料理について何もわからないので、メニューを渡されるなり、「おすすめはなんですか」と聞いた。すると、鶏肉の煮込みと牛肉の炒め物を薦めてくれた。楽しみだ。

しばらくすると、二人分の料理が載った大皿一枚と、インジェラというエチオピアの主食パンが10個くらい載った別の皿を店員が持ってきた。
しかし、店員はナイフやフォークは持ってこず、そのまま厨房のほうへ戻っていった。

メニューを見返すと「エチオピア料理の正しい食べ方」が事細かに説明されている。
「アメリカでは、料理を手で食べるのは原始的な人々だけだという意見もあるでしょうが、この考え方は非常に偏っています。というのも、エチオピアでは特定の料理を手を使って食べるからです」とのこと。
詳しく読むと、このインジェラというパンをちぎって、それをスプーンやフォークのように使って、具材をつかんで口に運ぶという。
さっそく実践しようと、インジェラに手を付けると、とても冷たい。メニュー説明によると、冷たい状態が普通らしい。

インジェラ(写真左)をちぎって、大皿に載った料理をつかんで食べる。赤い鶏肉料理が中心。上下に牛肉料理が置かれ、左右には野菜料理が添えてある=ロサンゼルスのリトル・エチオピア、2012年11月11日撮影

鶏肉の煮込みは、コショウ、ニンニク、ショウガ、ナツメグなどで味付けした赤いワット(Wot)ソースに鶏肉が入った料理。とても柔らかいインジェラが破れないように、そっとソースをつかんで食べた。スパイスが効いていて辛く、味わい深い。手羽元は、指を突っ込んで肉をほぐして食べた。もちろん指はワットソースまみれでまっかっか。牛肉も唐辛子と一緒に炒めてあり、ピリッと辛くていける。
インジェラ自体はやや酸味が効いていて、好き嫌いは分かれるだろうけど、料理と一緒に食べると、それほど酸味も気にならない。なにより、初めての食材を初めて手で食べる経験自体が刺激的だ。

おなか一杯で店を後にした。リトル・エチオピアの他の料理店でも、エチオピア人かどうかにかかわらず、多くの人が昼食を楽しんでいる。

エチオピア人移民の増加は、多分に漏れず、アメリカの外交政策と関係が深い。
1974年、アメリカが支援していたエチオピア皇帝がクーデーターによって失脚。政治の不安定化や貧困拡大などによって、多くのエチオピア人がアメリカに移民した。2000年の国勢調査によると、大半は東海岸で暮らしているが、ロサンゼルス郡内でも約5千人が暮らしているという。
リトル・エチオピア界隈には、1980年代後半から徐々にエチオピア人の商店が増え始め、現在は約15店舗に及ぶという。
そして、ロサンゼルス市議会は2001年、この特色ある地域を正式に「リトル・エチオピア」と呼ぶ提案を可決した。

ロサンゼルスには「リトル…」と呼ばれている地域がいろいろあるが、それぞれのリトルが出身国や移民の歴史を物語っている。

「Little Ethiopia」と書かれた交通標識もある
昼食後によった近所のショッピングモール(The Grove)で、ガラス入りのサボテン置物を購入した。気に入った。

ガラス入りサボテン置物。写真の商品は一つ19ドル。
置くタイプを18ドルで購入。自宅の窓から入る自然光で撮影するといい感じに。

・参考にしたロサンゼルス・タイムスのまちぶら記事は、こちら

0 件のコメント:

コメントを投稿