2014年12月18日木曜日

祝祭日から学ぶ多民族社会アメリカの歴史

冬のホリデーシーズンに入った。

近所にはクリスマスに合わせて電飾を飾った家もちらほら。ショッピングモールもクリスマス関連の商品を多くそろえている。

「メリー・クリスマス(Merry Christmas)!」と同じように「ハッピー・ハヌカー(Happy Hanukkah)!」という言葉もよく聞く。
「ハヌカー」とはユダヤ教の祭日。ユダヤ教の暦に合わせて12月中に8日間続く。今年は16日に始まった。

大型量販店「ターゲット」に行くと、ハヌカー用商品のコーナーがあった。
ハヌカーの時期に使うドレイドルというコマ型の玩具や、9個のロウソクを飾るメノラーというロウソク台などが売っている。

大型量販店のハヌカー用商品販売コーナー

多くのユダヤ系の家庭では親族で集まって祭日を祝う。僕も10年ほど前にカリフォルニアの大学に交換留学した際、ユダヤ系のルームメイトの家に招いてもらい、ハヌカーの集いを楽しんだ。食事の前は参加者がお経みたいなものを順番に読んでいく。英語だったので僕も読むことができた。

アメリカでも20世紀初頭までマイノリティのユダヤ人に対する差別は根強かった。今日のユダヤ系アメリカ人は主流社会に溶け込んでいる一方、ハヌカーなどの祭日を通してユダヤ系の結束を強め、若い世代にユダヤ系としてのアイデンティティを伝えている。その意味では、ハヌカーにはユダヤ系アメリカの伝統という側面もある。

ハヌカーが始まった16日の朝は、いつものように地元テレビ局のニュースを見ていた。芸能ニュースのコーナーでは、毎日、芸能人が出演しインタビューに答える。今日は歌手のスティービー・ワンダーだった。中学生のころから、彼の音楽は大好きなので朝から興奮した。彼は準備されたキーボードを使いながら、クリスマスソングを歌った。気ままな朝の情報番組で、リラックスした大物歌手の様子が見られるのはうれしい。

ロサンゼルス地元テレビ局KTLAに出演中のスティービー・ワンダー(写真右)

インタビューの途中、彼はキャスターに「ところで、さっき(番組内で)ハヌカーとクリスマスに触れたよね。けど、クアンザ(Kwanzaa)を忘れちゃいけないよ」と付け加えた。クワンザとは12月26日~1月1日に祝うアフリカ系アメリカ人の祭日だ。市民権運動が盛り上がった1960年代、アフリカ系の文化や歴史を記念する祭日として始まった。スティービー・ワンダーもアフリカ系だ。

このようにアメリカでは12月はクリスマスだけでなく、ハヌカーやクアンザも祝う。だから、まとめて「ハッピー・ホリデーズ(Happy Holidays)!」という表現もある。ハヌカーもクアンザも「ハッピー・ホリデーズ」という表現も、多民族国家アメリカで独自の発展を遂げてきた。祝祭日を通して多民族国家アメリカで暮らすマイノリティの歴史について学ぶことができる。

・番組のビデオ・クリップは、こちら

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