2014年10月18日土曜日

アメリカ発祥のモルモン教、中国人留学生の信徒も増加

アメリカ社会の発展において資本主義とキリスト教が大きな原動力となってきた。

19世紀前半、産業化とともに市場経済が発達し、人々の生活が大きく変化していく。物質的な変化の中でも道徳的な生き方を守ろうと、キリスト教の宗教復興運動が盛んになる。

キリストの再臨を願う信仰も強まり、新しい教団も生まれる。その一つが1820年代に創設されたモルモン教だ。

創設当時、既存の教義との対立などから東海岸を追われ、現在のユタ州に拠点を移す。今では世界各地で宣教活動を行っており、世界に約1,500万人の信者をもつという。

自転車に乗った背広姿の若者が二人一組で布教活動をしている姿を見たことがある人は日本にもたくさんいるだろう。また、2012年の大統領選挙に立候補した共和党のミット・ロムニー氏も、モルモン教徒として初めて大統領候補者になったことが話題となった。

先日、モルモン教徒の大学の友人が、キャンパス近くの教会施設で学生信徒によるタレントショーがあるから来ないか、と誘ってくれた。彼とは10年来の友人だけど、お互い忙しく、ここ2年は会っていなかった。再会するいい機会なので、タレントショーを見に行った。

この教会施設は学生信徒が集う場所となっている。この日は50人以上の学生らが集まり、歌や踊りを披露した。ハワイアンダンスやサックス演奏など、どれも本格的で見ごたえがあった。詩集を出版したことがある友人も詩を朗読した。

集まった学生らは国際色豊か。特に、中国人留学生の増加に伴って、中国人の入信者も増えており、施設では中国語のセミナーも行っているという。タレントショーでは最近、洗礼を受けた学生も中国語で歌を披露した。観客にはモルモン教に関心を持ち始めた中国人留学生もちらほら来ていた。

中国人学生の入信の理由はもともとキリスト教に興味があったり、渡米してから興味を持ったり、いろいろ。施設は信仰の中心だけでなく、大学の授業のために自習する場所にもなっており、留学生活における居場所の一つになっているようだ。


学生を対象にキャンパスで宣教活動を行う若者たちもいる。この日は宣教師の若者も5人ほど参加していた。

その一人がたまたま日本人だった。数カ月前にロサンゼルスに来て宣教活動を開始。日本では英語を使う環境で育ったらしく、ネイティブ並みに英語が上手。最初は日系アメリカ人と勘違いしてしまった。

タレントショーでは彼も故郷・沖縄をテーマにした歌を披露し、曲の合間には、観客が事前に練習した通り、掛け声を入れたり、振り付けを加えたりして盛り上げた。

彼のように日本からアメリカに来る宣教師もいれば、もちろん、アメリカから外国に行く宣教師もいある。タレントショーでは韓国で宣教活動を行った経験から、韓国語の歌を披露する学生もいた。

友人は「ここの学生信徒団の多様性を見ると、いい文化の勉強になるかも」と言っていた。19世紀にアメリカで生まれたモルモン教の教団は、世界各地に宣教師を送るとともに、世界各地から来た移民にも積極的に宣教活動を行っている。

タレントショーは、久しぶりに友人と再会できたうえ、アメリカ発祥の宗教と移民のグローバルなつながりを肌で感じるいい機会になった。

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