2014年6月14日土曜日

国際化と平等化、変わりゆく日本の移民社会

日本に2年ぶりに帰国した。最初は東京に一週間ほど滞在した。

中高時代の友達に会うため、品川駅に向かった。到着して改札を出ると、帰宅する大勢の会社員が駅ビル構内を埋め尽くしていた。改札へ向かう会社員の群れは増水した川のようにまとまって勢いよく動く。この川を横切るには、人の流れに身を任せつつ、斜め方向に移動しないといけない。

日本語も日本食も身近なロサンゼルスで生活していたので、それほど逆カルチャーショックはないと思っていた。けど、東京の人の量や動きに対応する際には、ある程度のフィジオロジカル(生理的)ショックがあり、それはそれで興味深い。

ところで、そうした大勢の会社員が行き交う品川駅構内には横断幕がかかっていた。「不法就労外国人対策キャンペーン月間」と書かれており、法務省入国管理局のキャンペーンだった。横断幕の下を通り過ぎ振り返ると、その裏側に「ルールを守って国際化」と別の標語が書かれていた。

会社員が行き交う品川駅構内に掲げられた入国管理局の横断幕

日本社会の国際化を進めるには既存のルールや外国人に対する認識を変えないといけない。つまり、法務省が不法就労外国人と呼ぶ非正規滞在労働者(非合法移民労働者)を既存のルール通りに強制送還しても日本社会が国際化するというわけではない。

もちろん法治国家であれば出入国管理法を順守することは重要だ。しかし、それと同時に非正規滞在労働者が日本経済の一部を支えているという事実を理解しないと、日本社会の外国人に対する認識を国際化することはできないじゃないだろうか。

品川駅を毎日行き来する会社員にとって非正規滞在労働者はあまり縁のない存在。品川駅で「不法就労外国人対策」を訴えても非正規滞在労働者が減ることは期待できない。ということは、この横断幕の「啓発」効果があるとすれば、「非正規滞在労働者は悪いものだ」という漠然としたイメージを日本社会に広めることぐらいしかないんじゃないだろうか。

非正規滞在労働者にだけ責任を負わせるようなキャンペーンが東京の中心部で堂々と行われてる状況では日本社会の国際化は程遠いと感じた。


とはいえ、東京は日本国内の他の都市に比べれば実質的に国際的な都市といえる。東京都内には2014年、約39万人の外国人登録者が暮らしている。品川区民(約37万人)より多い。一週間ほどの滞在でも、いろいろなところで観光客ではない外国人をたくさん目にした。

東京タワー近くのホテルに泊まった。近所の増上寺境内では、外国人研修生と思われる東南アジア出身の建設作業員が日本人作業員とともに働いていた。チェーン店の牛丼店に入ると、若いアルバイト店員3人が切り盛りしており、みんな外国人だった。中国人の女性アルバイトが新入りの東南アジア出身の男性アルバイトに日本語でアドバイスしていた。おそらく彼らは留学生だろう。

飲食店やコンビニなどでは留学生らが働いている。

外国人研修生も学生アルバイトも一定期間を過ぎると、出身国に帰国することが想定されている。けど、日本での生活を通して結婚などを理由に日本に定住する人もいるだろう。移民の受け入れという観点では、そうした人たちとその子どもたちが日本社会で平等に扱われるかどうかが重要だ。日本人と外国にルーツがある人々の平等化が日本社会の国際化に欠かせない要素だと思う。


東京で用事を済ませた後、別の用事で沖縄に向かった。羽田空港の搭乗口前ロビーで出発を待つ。備え付けられた広告用テレビ画面で、公共広告機構制作のあしなが育英会のPR広告が流れていた。4人の若者を取り上げ、それぞれの将来の夢をかなえるため、育英会が経済的なサポートを行っているという内容だった。4人のうち1人はアフリカ系の若者だった。外国にルーツがある若者も支援の対象になるということを効果的に伝えるPR広告だった。

あしなが育英会のPR広告

あしなが育英会のPR広告と入国管理局の横断幕はそれぞれ対照的なイメージを作り出しているけど、どちらも外国にルーツがある人々と日本社会の関係を反映している。しばらくしたら、またロサンゼルスの留学生活に戻る。インターネット情報などを通して日本の移民社会の変化も注意深く見つめていきたい。

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