2013年12月22日日曜日

先住民の魂を追う、サンタバーバラに日帰り旅行

オレンジ色の屋根に白壁の家々という街並みが人気のサンタバーバラ(Santa Barbara)へ日帰り旅行に行った。

サンタバーバラは、1786年、カリフォルニア支配を本格的に開始したスペインが、ミッション・サンタバーバラ(Mission Santa Barbara)を建設した町だ。ミッションとは、カトリック教会の神父が先住民の改宗を進め、それをスペイン軍が護衛する宗教的・軍事的な植民地支配の拠点。スペインは当時、カリフォルニア州太平洋岸地域の21ヶ所にミッションを先住民の労働力で建設し、支配を固めた。

当時、サンタバーバラでスペインが改宗の対象とした人々は、現地の先住民チューマッシュ(Chumash)族だった。サンタバーバラのミッションを見学する前に、先住民の文化について理解を深めようと、彼らの聖地だった岬ポイントコンセプション(Point Conception)に向かうことにした。ロサンゼルスからサンタバーバラは車で西へ2時間、ポイントコンセプションはさらに西へ1時間半かかる。

ポイントコンセプションの地図(クリックで拡大可能。Google Mapから)

チューマッシュ族の世界観では、人間が死んだ3日後に、その魂が墓から出て、生前のゆかりの場所をさまよう。その2日後に墓に戻る。その後、魂は太平洋の波が打ち寄せるポイントコンセプションから、死後の世界に向かうと考えられていたという。

グーグルマップで行き方を調べて印刷した紙を手に、自宅を午前9時過ぎに出発。神々しく光る太平洋岸に出たと思うと、キャンプ場に到着した。どうなっているのかと思い、キャンプ場の職員に聞くと、「ここからポイントコンセプションまでは私有地なので車では行けないんです。あなたと同じようなケースも多いですし、グーグルは地図から経路を省くべきですよ」と教えてくれた。キャンプ場から海岸沿いを歩くと数時間かかるが、それではサンタ・バーバラを散策する時間がなくなる。仕方なく引き返した。


やや残念だったけど、周囲の海の雰囲気はつかめたので良しとしよう。その後、サンタバーバラ中心部から少し東側のモンテシート(Montecito)という町にある有名なイタリア料理店トラットリーア・モリー(Trattoria Mollie)へ向かった。

店内に入ると、同店女性シェフのモリーさんが出版したレシピ本が置いてある。女性はアフリカ系だ。すると事前に調べてくれた妻が「エチオピアの人らしいよ」と言う。エチオピアは20世紀前半に5年間、イタリアの植民地支配を受けていたが、それがなんらかの背景にあるかどうかは分からない。けど、意外で興味深い。オバマ大統領も食事に来たらしい。

広い店内には、3組の客が食事をしていた。僕の右手に座っている女性2人がたまたま視界に入った。その1人が有名な昼間のトークショーの女性司会者に似ている。そう思うやいなや、彼女の声が聞こえ、その女性司会者に間違いないと分かった。しばらくすると、モリーさんが現れ、彼女に抱擁してあいさつしていた。

僕らはピザ・マルガリータとフィオレンティーナ風タリオリーニ(平打ちパスタ=写真)を注文した。味にも量にも満足したけど、それぞれ12ドルと15ドルと良心的な値段でさらに好感を持った。有名人の休日も垣間見れた。

アルデンテでおいしい。


食事を終えて、ミッション・サンタバーバラへ向かった。現在の施設は1820年に建設され、その後、修復を重ねつつ、今日まで現役の教会として利用されている。観光客は入場料が必要だが、教会に入ると、礼拝をしたり、懺悔をしたりする現地の信者が何人かいた。

ミッション・サンタバーバラの教会


ミッションを出てダウンタウンへ。周辺は高級そうな住宅が多い。チューマッシュ族が暮らしていた豊かな土地は、スペイン、メキシコ、アメリカの支配を受けて今日に至る。

ダウンタウンを軽く歩いた後は、そのまま海辺に向かう。ちょうど日が沈み、辺りはすっかり暗くなった。こじんまりとした鮮魚店で生ガキとウニを買う。生ガキはその場でちゅるっと食べた。午後7時半に帰宅。あったかいごはんにウニをのせて美味しくいただいた。

新鮮な魚がビニールでラップされて販売されていた。

この量で約6ドル。身も大きく甘かった。

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