2013年5月14日火曜日

アワビに想う、カリフォルニア先住民の生活、語源と歴史

5月8日が今学期、最後の授業だった。
その日は議論の司会進行役も兼ねていたから、いつもより気を引き締めて登校したけど、今学期でいちばん英語の調子が良かった。語学力が伸びていると実感できるのはうれしい。

ちょうど妻がキャンパス近くのスーパーまで買い物に来ていたので、授業後に合流した。
スーパーまでは同級生2人といろいろおはなし。授業は終わっても、最終課題は提出していないので、まだまだ気が抜けないね、などと話をした。

スーパーに到着。買い物中の妻を探そう。
そのスーパーは韓国系アメリカ人が経営しているらしいけど、お客さんのほとんどが中南米系のラティーノだ。
かつて中央アメリカで栄えたマヤ文明やアステカ文明に欠かせない世界三大穀物の一つ、トウモロコシ売り場は人だかりになっていた。
ビニール袋にトウモロコシを入れるラィテーノのおじさん、おばさん、若い奥さん、そして、うちの妻!
完全に溶け込んでいて、とても心強かった。
ちなみに、トウモロコシは5本で1ドルだった。

その後、車でコリアタウンのスンドゥブ店に行った。ここに来るのは3回目だ。
ほとんど勉強する暇がなく、感覚が抜けてきた初級・韓国語をここぞとばかりに使い、「この料理はご飯も一緒に来ますか」などと質問して、スンドゥブとカルビ焼きを注文した。

食事が済むと、その近くの別のスーパーへ。魚介類コーナーに行くと、アワビ1個が通常5.99ドルのところが、3.99ドルで売られていた。

日本ではほとんどアワビは食べたことがないし、ましてや生のアワビは買ったこともない。
手ごろな値段なので、買ってみることにした。
妻が「エクスキューズ・ミー」と魚介類担当の店員に声をかけると、ラティーノのおじさんが「ハウ・メニー?」と聞いてきたけど、僕が反射的に「ウーノ (一つ)」と答えると、向こうもスペイン語に。

「ちっさいのとおっきいの。どっちにする?」と聞かれ、ちっさいアワビを注文した。
大きなアワビはフリスビーくらいの大きさ。おばけアワビという印象で、食欲はわかなかった。
水槽からアワビを取り出したおじさんに「これじゃ少ないでしょ。二人なんだから、2個にしたら」と勧められたので、そうすることにした。

アワビが入ったビニール袋を受け取った妻が「グラシアス(ありがとう)」と勉強中のスペイン語でいうと、「オウ!ベリー・グッド、スパニッシュ!」と喜んでくれた。

ロサンゼルスでは一日にいろんな言語が話せるから楽しい、と妻と日本語で話をしながら、帰途についた。


アワビは英語では「アバローニ(abalone)」という。
スペイン語でも、同じような発音だった気がしたが、手元の辞書で調べてみると、「オレハ・マリーナ(oreja marina)」と書いていた。「海の耳」という意味だ。

ただ、なんとなくしっくりこないので、ネットなどで改めて調べてみると、「アブロン(abulón)」とも呼ばれていることがわかった。これまでスペイン語でアワビという単語を使う機会はなかったので、はっきりと認識してはいなかったけど、この言葉はかすかに聞き覚えがあった。

さらに調べると、もともとカリフォルニア海岸部に暮らしていた先住民が、アワビを「アルアン(aluan)」と呼んでいたのが語源らしい。
18世紀後半、領地確保を狙うスペイン人がカリフォルニアの支配を強め、それを「アブロン」と呼び始めた。
そして、19世紀中ごろ、金鉱発見をきっかけに押し寄せたアメリカ人が、今度は「アバローニ」と呼び始めたらしい。
つまり、「アバローニ」「アブロン」は、ヨーロッパではなく、アメリカ大陸で生まれた単語だったわけだ。

先住民も「アルアン」を食べていたんだろう。
一つの単語を通して、かつての先住民の生活が想像できた。
ちなみに、その部族の子孫は現在も生きている。

今後、外国語の語源を探るとき、「英語/スペイン語」のように、どの国の言葉なのか、だけではなく、「ヨーロッパ大陸/アメリカ大陸」のように、どの土地の言葉なのか、という捉え方も意識したい。学び多きアワビだった。


アワビは新鮮なうちに食べようということで、その日の深夜に食べた。
冷蔵庫から出すと、まだぐにゃぐにゃと動いている。
一つは刺身に、もう一つはバター焼きに。肝も含めて、美味しくいただけた。

アワビの刺身。甘みもあって美味しかった。

アワビのバター焼き。肝も食べやすかった。

ところで「アワビ」の語源ってなんなんだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿