2013年4月16日火曜日

広がるヴィーガン食、人気のインド料理店

アメリカ大学院の留学生活は課題が多い。
一日中、家にこもって本を読んだり、小論文を書いたりすることも珍しくない。
けど、やっぱり気が滅入るので、無理やり外出するように心がけている。

そんな動機で、先日、近所のインド料理店に行った。
ポップな外観から、この店のインド料理はアメリカ風にアレンジされているだろうと想像できた。
けど、インドっぽいカレーとナンが食べられたら満足なので、かまわず入店。三品にコメとナン、ヨーグルトをつけて9ドルのセットを注文した。

三品といっても、ぜんぶカレーだ。チキンカレー、バーベキュー大豆カレー、ジャガイモカレーを頼んだ。デリ形式なので、商品を見ながら注文できた。インド系の若者らが店を仕切っていた。

ジャガイモカレーはなんとなく懐かしい味。チキンカレーはものすごく甘いカレーで、かなり淡泊な鶏肉を使っている。バーベキュー大豆カレーは、名前からして、明らかにアメリカ出身のインド料理だ。真っ赤なカレーで「辛いですよ」と店員に確認されたけど、あまり辛くない。大豆をつぶした疑似ミートボールがごろごろ入っていた。この疑似ミートボールは慣れなくて、珍しく残してしまった。



というわけで、どちらかというとタンドリーチキンみたいなものを期待していた僕にとっては、やや期待外れだったけど、なぜか店内にはどんどんお客が入ってくる。客層も、人種エスニシティ、年齢、性別にかかわらず幅広い。
なんでこんなに客が来るのか不思議に思っていたけど、この店がベジタリアン/ヴィーガンのインド料理店だと分かって納得した。

アメリカ生活を始めて知った言葉の一つが「ヴィーガン(vegan)」だ。
動物関連の食材を一切食べない人のことだ。

ベジタリアンと何が違うのかというと、ベジタリアンの間では、卵や牛乳は食べる人もいるが、ヴィーガンは一切食べない。徹底している人は、はちみつやゼリー(動物由来のゼラチンが入っているので)も食べない。

1960年に設立されたアメリカ・ヴィーガン協会によると、「人間とその他の生き物の倫理的な関係」を重視することがヴィーガン食の基本らしい。
そこにはインド発祥の宗教における「アヒンサー(不殺生)」の精神も組み込まれているという。

僕もアヒンサーの精神は重要だと思うけど、好きな料理は中国料理と韓国料理なので、この店の料理がなんとなく物足りないと感じてしまったのも仕方ない。チキンカレーがあったのは、ヒンドゥー教徒の一部では鶏肉を食べることが許容されているからだろう。また、僕みたいな雑食者の要望に応えることもできる。

僕がヴィーガンという言葉をよく聞くように、ヴィーガン食は近年、一部の人が実践する特殊な食事ではなく、一般的な食事として広がっているようだ。
その背景には、動物性脂肪やタンパク質の摂取が健康に悪影響を与えることが医学的に主張されたり、畜産業における動物の虐待に抗議する声が広がったりしたことがあるらしい。

というわけで、ヴィーガン食を実践する人の理由も程度もいろいろあるけど、こうして実践する人が多いからこそ、このインド料理店もこれだけ人気があるんだろう。

英語版ウィキペディアで「ヴィーガン」と調べてみると、巻きずしもヴィーガン食として紹介されていた。インド料理も日本料理も、アメリカでは一般的なエスニック料理として受け入れられている。もともと穀物や野菜(日本料理の場合、海藻も)だけを使った料理が多いことも、ヴィーガン食が普及しているアメリカで、インド料理や日本料理の人気が高い理由の一つかもしれない。


余談だけど、このインド料理店に行く前に、おしゃれな調理器具・食材店に行った。
冷凍食材コーナーに行くと、冷凍マグロの下に、冷凍カエルが置いてあった。
カエルはフランス料理店で一度食べたことがあり、とても美味しかった記憶がある。
肉食も奥が深い。植物であれ動物であれ、日々、感謝していただきたい。

冷凍マグロ(写真上)と冷凍カエル(写真下)。カエルは4匹で10ドルだった。

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