2014年11月17日月曜日

エビマヨ誕生の背景、香港移民とウォルナット・シュリンプ

近所にはこれと言っておいしい中国料理店がないから、中国系住民の多い地域に食べに行く。
今日はトーランス市の中国料理店「Seafood Port Chinese Restaurant」に足を運んだ。
週末の昼間なのでかなり賑わっていた。客層は6割がアジア系で、それ以外はラティーノが多い。

ランチは8ドル前後。100種類ほどある一品料理から一つを選ぶと、それにご飯と酸辣湯、デザートが付いてくる。

今日はランチメニューに「クンパオチキン(Kung Pao chicken)」という名前の鶏肉とピーナッツ、唐辛子の炒め物を選び、ランチメニューではないけど、こちらで人気の「ハニー・ウォルナット・シュリンプ(Honey Walnut Shrimp)」を初めて注文した。

日本語訳すると「クルミとエビのハチミツ炒め」と言ったところなので、その料理名からは予想できないけど、これはいわゆるエビマヨのこと。マヨネーズとハチミツで作ったソースを揚げたエビに絡め、甘く炒めたクルミを加える。サクッとプリッと揚がったエビとクルミの食感が重なり、かなり美味しい。僕ら以外にも注文している客が何組もいた。

この店のウォルナット・シュリンプ(写真)は一皿約18ドルといい値段だけど、量が多いので半分は持って帰り、夕食で食べた。

しかし、マヨネーズ、ハチミツ、クルミとアジアの伝統的な料理のイメージとは異なる食材が使われている。このアメリカ版エビマヨはどうやって生まれたんだろうか。日本のエビマヨと関係があるんだろうか。

ネットで調べると「ウォルナット・シュリンプ」は「香港スタイル料理」、「香港から来たもの」、また「中国系アメリカ料理」と曖昧な情報が多い。

料理本を出版したこともある、あるアジア系料理ブロガーの記事では「香港で発明されて、1990年代前半にアメリカに持ってこられたという噂もあります。誕生の背景がなんであれ、ハニー・ウォルナット・シュリンプはアメリカの中国料理店であればどこでも食べられる定番メニューになりました」と紹介されている。というわけで、実際どうなのかははっきりしないようだ。

エビマヨと言えば、今年亡くなった炎の料理人・周富徳さんが日本で生み出したと言われている。朝日新聞の惜別記事も「エビマヨの生みの親」と見出しをつけ、「香港へ通い、研究を重ねた」結果、エビマヨが生まれたとしている。だけど、2012年に放送されたテレビ番組(TBS・『イカさまタコさま』)が調べたところ、ロサンゼルスで食べた料理をヒントに周さんが発案したものだ、というネット情報もいくつか見つかった。

おそらくテレビ番組の検証内容がより正確なんだろう。というのも、ロサンゼルスではかなり多くの中国料理店で「ウォルナット・シュリンプ」が提供されている。人気口コミサイト「Yelp」で「Walnut Shrimp」「Los Angeles」と検索すると、2千件以上の店舗情報が出てくる。また、1997年に香港がイギリスから中国に返還される前に多くの香港人がロサンゼルスに移住しており、香港系の中国料理店も多い。

そう考えると、周さんがロサンゼルスの香港系中国料理店で「ウォルナット・シュリンプ」を食べ、それをヒントに日本でおなじみのエビマヨを発案したんじゃないだろうか。周さん自身も日本に移住した中国人移民の子ども。移民の子どもが日本で発案したエビマヨの背景に、ロサンゼルスに渡った香港人移民の歴史が隠れているかもしれない。

・朝日新聞の惜別記事は、こちら
・料理ブログの関連記事は、こちら

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