僕は旅程の調整、学生レポートの採点、通訳などを担うティーチング・アシスタント(TA)として参加した。
この日本旅行プログラムは、僕の通っている大学が2010年から始めた事業。東日本大震災が起きた2011年を除き、毎年夏に行われ、今年で5回目。今年は日米両国間でどのような偏見や誤解が生まれ互いの社会に影響を与えてきたのかというテーマをもとに、学生らはロサンゼルスで一週間ほど勉強した後、日本に向かった。
TAの僕は基本的に教える立場で帰国したけど、学生たちや訪問先から学ぶことの方が多かった。
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日本国内のマイノリティについて理解を深めるため、東京朝鮮中高級学校を訪問した。まずは授業見学。英語の勉強中の教室に入ると、生徒らが「ハロー、ハロー」と元気に声をかけてくれた。生徒らは、日本語と英語の授業を除き、すべて韓国・朝鮮語を使って学ぶ。アメリカ人学生の一人が「家では何語で話すんですか」と質問すると、案内してくださった副校長先生が「家では日本語です。学校でしっかり使うことで朝鮮語も話せるようになります」と教えてくださった。
その後、副校長先生から朝鮮学校設立の経緯、民族教育の重要性、日本社会における差別また支援などについて話をうかがった。その後、朝鮮学校の生徒4人と懇談。アメリカ人学生のなかにはコリア系女子学生も二人おり、彼女たちは生徒たちと韓国・朝鮮語で話し、他のメンバーには英語に訳して内容を伝えてくれた。
コリア系アメリカ人と在日朝鮮人では歴史的背景がだいぶ異なる。それでも朝鮮半島にルーツのある若者同士、同じ言語を通して一気に互いの距離を縮めていった。
アメリカ人学生らは、朝鮮学校の生徒らが民族文化を守ってきた朝鮮学校を誇りに思っていることや、日本社会や国際社会とつながりながら生活していきたいと考えていることなどについて理解を深めた。
僕にとっても貴重な学びの機会だった。ヘイトスピーチや高校無償化不適用などに見られるように、日本で生まれ育った若者達が差別の対象となっている。国家間の緊張関係が、国内で暮らす移民の子孫に対する差別につながるような昨今の状況では、いくら経済的に発展しても、日本社会はグローバル時代の成熟した社会とはいえないだろう。
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この日の夜は日本のコリアタウンを見ようということで、新大久保の焼肉店へ。韓国人店長はコリア系学生と韓国・朝鮮語で話した後、辛ラーメン5パック入りをプレゼントしてくれた。
コリアタウンの焼肉店でサムギョプサルを堪能した。 |
焼肉店を後にすると、学生らは「ボバ(Boba)を飲みたい」とやたら言い出した。ボバとはいわゆるタピオカ入り飲み物で、ロサンゼルスではどこでも簡単に手に入る。日本ではなかなかすぐに見つからないので「ファミマにおいしいデザートがある」と日本流のやり方で納得してもらった。学生の一人はコンビニのプリンが気に入ったようで、一日に3個買う日もあった。たしかにケーキやパフェなど日本のスイーツの質は高い。僕は牛乳プリンを買って帰り、充実した一日を終えた。
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