2015年6月26日金曜日

日米間の大学比較、両国の学生が議論

アメリカ人学部生11人を指導教官とともに引率した日本旅行プログラム(前ブログ記事参照)では、都内の私立大学に通う学部生ら約20人と交流する機会もあった。日米両国の学生らは山梨県・山中湖畔の保養施設で2泊3日の合宿に参加。その間、アメリカ人学生はそれぞれの研究テーマについて日本人学生に質問するだけでなく、パワーポイントを使って他の学生の前で調査結果を発表した。

発表会では、日米両国の大学教育の違いについても学生同士で話し合った。
議論の内容を簡単にまとめると、以下のような感じだ。

・ 勉強の厳しさ
日本: 大学に入るための勉強が厳しい。基本的に大学生活は4年間の自由時間。大学の勉強は厳しくない。
アメリカ: 大学に入った後の勉強が厳しい。ただ、大学に入るための勉強も厳しくなりつつある。

・ 大学での専攻
日本: 大学入学時点で専攻がほぼ決まっている。二つ以上の専攻を持つことは珍しい。多くの学生が大学卒業後、専攻と関係のない職業につく。
アメリカ: 大学入学後に主専攻と副専攻を文系理系の縛りなく選べる。大学卒業後の職業に影響することが多い。

・ 学費
日本: アメリカに比べると高くない( 国立大学で年間50万円ほど。私立大学で100万円前後)。
アメリカ: 激烈に高い(年間500万円以上することは珍しくない)。多くの学生が多額のローンを組んで卒業後に返済する。

・ 学生の特徴
日本: 討論中に質問・意見することに慣れていない。
アメリカ: 討論中に質問・意見することに慣れている。討論の授業(Discussion Section)が大学教育に組み込まれている。

・ ギャップイヤー(大学卒業直後に就職せず、自分のやりたいことを自由にする時間)
日本: 一般的ではない。
アメリカ: 社会的に許容されている。

議論で取り上げられなかったものの、以下の項目も付け加えておきたい。

・ 就活
日本: 3年生の後半から説明会などに参加して就職活動(新卒一括採用)。
アメリカ: 3年生からインターンなどに参加して就職活動。大学時代の成績は重要。


アメリカの大学教育では、その学費の高さが明らかに問題である。貧富の差を再生産していく。
一方、入学後に文系理系を超えて複数の専攻を選べるうえ、学部教育が厳しいため、総合的な学問をしっかり身に着ける場所「University」として機能しているように思われる。
例えば、学生の一人は主専攻に生物学と東アジア研究、副専攻に映画学を選んでいる。他の学生は主専攻に数学、副専攻に政治学を選んでいる。

討論で積極的に意見できるかどうかについては、TAとして討論の授業を担当しているので、日米間の違いはよく分かる。アメリカ人学生の中には討論が苦手な学生も少なくないものの、授業が「シーン」となることは少ない。ただ、討論の得意・不得意は、教育制度の違いに加え、文化の違いも影響するので、良い悪いで簡単に判断できるものでもない。
また、日本人であれアメリカ人であれ、大きな教室では静かでも少人数のグループの中では積極的に意見できる学生もいる。ただ、国際舞台で活躍するためには、積極的に質問・意見することは重要であるということは言うまでもない。

では、日本の大学とアメリカの大学はどっちがいいんだろうか。
僕は、両国の学部と大学院にそれぞれ通ったけど、どっちが良いとも悪いともいえない。少なくとも個人的には、日本の大学で享受した比較的に自由な時間を勉強だけでなく、アルバイトや学部交換留学を含めて有意義に使えたように思う。

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