2013年8月4日日曜日

麺料理に舌鼓、カンボジア・タウンを歩く

ロサンゼルス大都市圏には、カンボジア人移民も多い。
ロングビーチ(Long Beach)市にあるカンボジア系コミュニティのカンボジア・タウン(Cambodia Town)を訪ねた。

2010年の国勢調査によると、アメリカに住むカンボジア系住民は約27万7千人いるという。
その多くは、1970~1980年代に難民としてアメリカに入国した人々とその子孫だ。

カンボジア共産党(クメール・ルージュ)が1975年、カンボジアの政権を握ると、多くの難民がアメリカへ向かった。初期の難民たちは教育を受けた人たちが多かった。1979年、カンボジア共産党政権をベトナムが倒すと、新たに多くのカンボジア人が難民としてアメリカに移住した。

国勢調査局が1992年にまとめた報告書によると、1975年以前、カンボジア人移民はほとんどいなかったが、交換留学生としてカリフォルニアで学ぶカンボジア人学生は1950年代後半から少数いたという。
そうした学生たちがロングビーチに小さなエスニック・コミュニティを作っていたことから、1970年代以降、多くのカンボジア人難民がロングビーチに集まったという。

そして「カンボジア・タウン」という地域の名称は2007年、カンボジア人のリーダーたちが運動した結果、ロングビーチ市に正式に認められ、現在は「Cambodia Town」と書かれた看板もたくさん設けてある。

カンボジア・タウンの道路標識


エスニックコミュニティに行くとき、いちばん楽しみにしているのは食事。けど、カンボジア料理といっても、具体的にどんな料理か頭に浮かばない。

クチコミ検索サイト「Yelp」で調べたところ、「プノンペン・ヌードル・レストラン(Phnom Penh Noodle Restaurant)」という店を見つけた。
検索サイトには、なんだかつけ麺のような食べものの写真が掲載されている。食べたことがない料理だったので、その店に行くことにした。

午後1時ごろに自宅を車で出発し、約40分で店に到着した。
店員は客もカンボジア系の人たちが多そうだ。クメール語や英語でにぎやかに話している。

注文を聞きに来てくれた店員がすすめてくれた「プノンペン・ヌードル」(5ドル)を注文した。
スープの入っていない皿に、米麺、パクチー、ネギ、揚げニンニク、おそらくブタの肝臓、エビなどが入っている。そして、たくさん肉が付いた豚骨入りのスープを添えてくれる。
スープはそのまま飲んだり、麺にかけたりして食べるという。

プノンペン・ヌードルは、スープ入りか、スープ別皿か、選べる。店員は、写真のようにスープ別皿をすすめてくれた。写真奥のモヤシやライムも麺に入れて混ぜる。

これが抜群においしかった。麺には、しっかり味がついている。テーブルの辛口ソースや甘口ソースをかけて、麺と具を混ぜれば、さらにおいしい。そして、しっかり豚骨の出汁がとれたスープをすすると、どんどん食が進む。
チャ・クアイ(Cha Quai)という揚げパン(0.75ドル)も注文した。これは、スープに浸して食べるらしい。これもなかなかおいしかった。


店を出て南に10分ほど歩けば、カンボジア・タウンの中心部、アナハイム通りと交差する。
アナハイム通り沿いには、カンボジア人経営の飲食店、食料品店、民族衣装店、ビデオ店、宝石店などが並んでいる。この地域はラティーノも多いので、メキシコ系の店もたくさんある。

クメール文字で店名を書いた民族衣装店

カンボジア系食料品店「ドン・マイ・スーパーマーケット(Dong Mai Supermarket)」に入った。
カンボジア系住民でにぎわっている。カンボジアから輸入した食料品を買おうと物色したけど、なかなか見つからない。ほとんどがタイやベトナムの輸入品だ。
店員に聞くと、カンボジア料理は、こうしたタイやベトナムで生産された食料品で作ることができるらしい。

ドン・マイ・スーパーマーケット

魚の身をすりつぶして瓶に入れた商品がたくさん売られていた。これは使い方が分からないが、きっと東南アジアの人たちにとっては、おなじみの食材なんだろう。

果物コーナーで、見たことのない果物を見つけた。
切った状態で売ってある。皮はぶつぶついがいがした感じ。皮を取り除いて食べられる部分だけを入れたパック詰めも売っていた。何か分からないけど、甘い香りがしておいしそうだから、買うことにした。
この果物の英語名はなにか、レジの店員に聞いたら、なんだったけな、という顔をした後に「チャッルー」と言った。わからない。なんなんだろうか。
よく聞くと、これは僕が前から食べたかった世界最大の果物「ジャック・フルーツ」だということが分かった。

以前、ベトナム系コミュニティのリトル・サイゴンで見つけて以来、食べたいと思っていたけど、丸ごと買うには、大きすぎる。カンボジア・タウンで、小さなパック詰めを買うことができて、ラッキーだった。

買物を終えて、車を駐車した場所に戻る。その途中、カンボジア系ビデオ店にも立ち寄った。クメール語のカラオケCDもたくさん売っている。店内のテレビでは、若い女性歌手のプロモーションビデオ兼カラオケビデオが映っていた。
「これはカンボジアの歌ですか」と店員に聞くと、にっこりうなづいてくれた。
日本にJポップ、韓国にKポップがあるように、カンボジアでもCポップが人気みたいだ。


自宅に帰って、ジャックフルーツを食べた。
パイナップルとライチとパパイヤとカキを足したような味だ。独特の甘いにおいがする。
果物好きな母親は、いつかジャックフルーツを食べてみたいらしい。
両親がアメリカに来たら、ジャックフルーツを食べさせてあげたいと思う。

ジャックフルーツ。黄色いかたまりから種を取り除いて食べる。

・リトル・サイゴンで見つけたジャックフルーツについては、こちら
・国勢調査局が1992年にまとめた報告書PDFは、こちら

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