アメリカで最も有名なホットドック店の一つ「Pink's」がある。名前は何度も聞いていたけど、食べたことはなかったので、一つ買ってみることにした。
注文しているお客さんが、チリドッグが楽しみで、やや興奮しているように見えた。 |
平日の午後4時だったけど、店の前には30人ほどの行列ができていた。
注文は妻にお願いして、店の周りをぶらぶらしていると、店の前に置かれた新聞販売ボックスに目が止まった。
ロサンゼルスでは、路上に新聞販売ボックスが置いてある。これに25セント硬貨を何枚か入れて、新聞を取り出す。右側のボックスが、スペイン語新聞ラ・オピニオン。 |
ラティーノ対象のスペイン語新聞ラ・オピニオン(La Opinion)の販売ボックス。透明なプラスチック越しに一面記事が見える。
写真付きで一面に紹介されていたメキシコ人男性は、前回のブログ記事(こちら)で取り上げた高級すし店の元従業員だった。
新聞記事の見出しは「Sabrosa victoria(味わい深い勝利)」だった。
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この高級すし店は日本人がビバリーヒルズで経営している。今年3月、この店がメキシコ人元従業員に適正な賃金を支払っていなかったことが明らかになった。
メキシコ人元従業員の訴えを受けて、状況を調査したカリフォルニア州労働基準監督署が、高級すし店に対して、労働法違反の罰金約6万6千 ドル(約660万円)を支払うように命じた。そのうち約3万8600ドル(約386万円)が、そのメキシコ人元従業員を含む元従業員3人に対する未払い賃金だった。
問題が明るみに出てから4ヶ月間、労基署の罰金命令にも新聞社の取材にも、店側は応えてこなかった。同紙によると、ようやく罰金を支払うことに店側が同意したようだ。
実際、労基署が罰金を命じても、店側が応じないケースが大半という。
メキシコ人元従業員は同紙の取材に、こう答えている。
「これは僕一人の勝利じゃなくて、同じ経験をしているすべての労働者の勝利です。やればできるんだ、法律には従わないといけないんだ、こんなに有名なレストランでも法律に逆らうことはできないんだ、という一つの例です」
◇
妻がホットドッグを注文している。
少し長い9インチのソーセージが入ったチリドッグを一つ買って、二人で食べた。
ソーセージはピリ辛。チリソースも味わい深く、いい豆を食べている、という感じ。
また食べに来たい。新聞記事じゃないけど、「sabroso」という言葉が、ぴったりの味だった。
1939年開店の歴史ある店が、今も大人気なわけが分かったような気がした。
ソーセージのパリッとした食感、チリソースのドロっとした食感、また、パンのしっとりとした食感。三つの食感が絶妙に合わさっておいしい名物チリドッグ。 |
・ラ・オピニオンのオンライン記事は、こちら。
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