12党と諸派と無所属の1504人が小選挙区・比例区に立候補。過去最高の立候補者数らしい。
個人的には投票率がどう変化するのか注目している。
2005年の郵政選挙の投票率は前回(2003年)比7.65ポイント増の67.51%。続く2009年の政権交代選挙は69.28%と、過去2回の衆院選は投票率が上昇傾向にある。今回はどれだけの人が実際に投票所に足を運ぶだろうか。
僕も「在外投票」しようと考えていたけど、手続きに数ヶ月かかるため、残念ながら、今回は間に合わなかった。
いつ解散総選挙があるかわからないので、在外投票する意志がある人は、海外生活を始めたら、できるだけ早い段階で、手続きを済ませておく必要があるようだ。
今回の衆院選は、多党乱立で、争点がはっきりしないという声もある。その点、アメリカの場合、民主党・共和党の間で争点はだいたいはっきりしている。
ちょうど一ヶ月ほど前に、オバマ大統領が再選を決めた。
しかし、今回の大統領選は、細かい争点よりも、むしろ将来のアメリカの姿に対する有権者の価値観の違い、また、その変化が見てとれたように思う。備忘録として記録しておく。
接戦になるという事前の世論調査とは逆に、選挙人票332対206という圧倒的な差をつけて、オバマ大統領が勝利した。
失業率8%台という厳しい経済状況において、経済に詳しいとされていた対抗馬に現職が大差で勝ったことは何を意味しているんだろうか。
CNNの出口調査によると、女性の55%、18~29歳の若者の60%、アフリカ系の93%、ラティーノの71%、アジア系73%がオバマ支持。一方、白人の59%がロムニー支持という結果だった。
この結果を受けて、アメリカが「白人」と「その他」に分断された、という印象を受けた人もいただろう。ただ、「白人」と「その他」の境界線(カラーライン)自体は、歴史的にはアメリカが独立したときから根強く、むしろ、奴隷制があった過去の方がより厳しかった。今回の選挙で、新たに深まった分断ではない。
くわえて、白人の39%がオバマ支持であったことからも、「白人」と「その他」というように、人種集団でスパっと分かれる分断ではないことははっきりしている。
むしろ、投票の分かれ目は、「(従来の)白人男性中心主義のアメリカ」と「(白人も含む)多様性のアメリカ」という将来像の違いにあったんじゃないだろうか。
この違いは、民主党・共和党の支持者拡大に向けた戦略にも見てとれた。
選挙前には、両党がそれぞれ全国大会を開いて、正式に立候補者を決定する。
共和党の大会会場を埋め尽くしたのは、ほぼ100%白人だった。一方、民主党の大会会場は白人、アフリカ系、ラティーノ、アジア系・・・と、人種エスニシティの多様性を象徴するようなかたちで支持者が集まっていた。「別の国か」と思うほど、まったく異なる印象を受けた。
おそらく、共和党は、勢いを増す「ティーパーティー」など白人保守層の価値観をもとに、「白人」と「その他」の違いをハッキリさせる作戦で支持拡大を狙ったものの、実際は、共和党が期待をかけた白人有権者の間でさえ、そうした価値観の共有が十分には広がらなかったのだろう。
追い風の中で「Yes We Can」のオバマ氏が圧勝した2008年大統領選では、白人有権者の43%がオバマ支持、55%がマケイン支持だった。
対照的に今回の選挙は、依然として移民人口が増え、経済状況も悪く、白人保守層の反発も強いなか実施された。しかし、それでも白人有権者の39%がオバマ氏に投票し、ロムニー支持は59%にとどまった。
つまり、今回の選挙をとおして、「白人」と「その他」という人種的な分断が深まったというより、アフリカ系初の大統領が誕生した2008年選挙時と同様に、今もそうした分断が基本的には弱まる傾向にあることが、改めて示されたといえるんじゃないだろうか。
追い風の中で「Yes We Can」のオバマ氏が圧勝した2008年大統領選では、白人有権者の43%がオバマ支持、55%がマケイン支持だった。
対照的に今回の選挙は、依然として移民人口が増え、経済状況も悪く、白人保守層の反発も強いなか実施された。しかし、それでも白人有権者の39%がオバマ氏に投票し、ロムニー支持は59%にとどまった。
つまり、今回の選挙をとおして、「白人」と「その他」という人種的な分断が深まったというより、アフリカ系初の大統領が誕生した2008年選挙時と同様に、今もそうした分断が基本的には弱まる傾向にあることが、改めて示されたといえるんじゃないだろうか。
オバマ陣営の選挙戦略スタッフは、選挙後のテレビインタビューで「中産階級を増やす」という訴えが響いたと話していた。白人に比べて、経済力の弱い人種・エスニシティ少数派の期待とも重なる。
国勢調査局の予測では、アメリカの人口は、今後ますますマイノリティの人口比率が高まっていき、2042年には過半数を超えるという。実際、2010年6月~2011年6月に、アメリカで生まれた赤ちゃんの50.4%はラティーノやアフリカ系といったマイノリティで、初めて過半数を上回った。
このような人口動態の変化に伴って、アメリカの将来像に対する有権者の考え方の境界線も変わっていくだろう。とくに共和党は新たな対応が求められている。次回の大統領選では、どのような支持者らが共和党全国大会の会場を埋めるのか注目したい。
僕の移民研究のクラスの先生は、熱烈な民主党支持者だが、その人でさえ、オバマ大統領の圧倒的な勝利には驚いたという。「次は、ヒラリーで8年、その次はフリアン・カストロ(メキシコ系アメリカ人3世)で8年」と期待を込めていた。
・アメリカの新生児人口に関する国勢調査局のサイトは、こちら。
・アメリカの新生児人口に関する国勢調査局のサイトは、こちら。
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