2012年11月22日木曜日

エスノバービア、中国系移民の郊外、飲茶に舌鼓

ロサンゼルスのチャイナタウンといえば、ダウンタウンと思う人が多いだろう。
中華料理店や輸入食料品店が並び、観光にはうってつけだ。
だが、実際にここに住んでいる中国系移民はそれほど多くはない。

1970年以降、多くの中国系移民(ここでは広い意味で台湾も含む)は郊外に集住し、サバービア(suburbia=郊外)ならぬ、エスノバービア(ethnoburbia=マイノリティによる郊外)を形成している。実際に中国系移民が多く暮らしているという意味では、こうしたエスノバービアが今日のチャイナタウンといってもおかしくない。

中国風の外観のショッピングセンター=モンテレーパーク市、2012年11月16日撮影
その一つがロサンゼルス郡モンテレーパーク市だ。
1970年代から、香港や台湾、また中国本土から来た移民が住み始めたという。
同市に住む中国系移民は1970年の2,200人から1999年の約2万5千人に増え、人口の4割を占めるまでになったという。

ちょうど今月、僕が誕生日を迎えたということで、日本人の友人と妻と3人で、モンテレーパーク市に飲茶を食べに行った。
ちなみに友人は日本で通っていた大学の先輩で、来春まで一年間、ロサンゼルスで資料収集などをしている。昨年の今ごろは、先輩と僕らがロサンゼルスに住んでいるなど想定していなかっただけに、うれしい巡り合わせだ。

多くの昼食客でにぎわう飲茶店=モンテレーパーク市、2012年11月16日撮影
向かった飲茶店は、オーシャン・スター・レストラン(Ocean Star Restaurant)。
店に入ると、大広間にテーブル50卓以上が並び、昼食に訪れた客でにぎわっている。
さっそく店員の中国人男性が何語かわからないけど、席に案内してくれる。
「ジャスミンティーでいいですね」という英語はわかったので、それを注文して席につくと、大広間の奥の方から、点心が載ったワゴンを押す女性店員らが、他のテーブルをよけながら、どんどんとやってくる。
そして、僕らのテーブルに到着するなり、矢継ぎ早に料理を薦めてくれるが、広東語なのでさっぱりわからない。ただ、直接、点心を見て選べるので、言葉はそれほど問題にはならないのが飲茶店のいいところだ。

ちょうどコイが池のエサに群がるような感じでワゴンが僕らに群がるので、やや圧倒されたが、ワゴンの上の点心は、どれもこれも食欲をそそるものばかり。しかも、すべてうまい。
あれやこれや10皿ほど頼み、入店から30分ほどでおなか一杯になった。
支払いはチップ込みで32ドル(約2600円)。安かった。
妻の母親が中国語や太極拳を学ぶほど中国が好きなので、ぜひ連れてきてあげたい。

次から次へと注文し、あっという間にテーブルは料理でいっぱいになった=モンテレーパーク市の飲茶店「オーシャン・スター・レストラン」、2012年11月16日撮影
食後は飲茶店の周辺を散歩。道行く人はほとんどアジア系の人たちだった。
たまたま見つけた中国系スーパーマーケット「99 Ranch Market」へ。エスニック・スーパーはそれぞれお国柄が出るが、妻はパック入り肉団子の種類の豊富さに驚いていた。また、中国だけでなく、日本や韓国の食料品も豊富にそろっている。アジア系に限らず、ラティーノも買い物を楽しんでいた。

中国系スーパーの棚にはずらっとパック入り肉団子が並ぶ=モンテレーパーク市、2012年11月16日撮影
スーパーを出てから、ちょっとした喫茶店でタピオカ入りドリンクを購入。先輩はタピオカ入りのパッションフルーツ・スムージーを注文。少し味見させてもらったが、さっぱりとした甘味で、食後にぴったりだ。

しばらく歩いた後、車に乗って周辺の街並みを見てまわった。落ち着いた雰囲気の住宅地にはきれいな家、商業地には漢字の看板を付けた店が並ぶ。
1970年代、中国系移民を呼び寄せるため、移民募集企業は、香港や台湾の新聞に「チャイニーズ・ビバリーヒルズ」というふれ込みで広告を掲載したという。
それから約40年、ビバリーヒルズとまでいかないにせよ、ここが彼らの中産階級としての豊かさをよく示す町になったことは間違いないだろう。

・参考にした研究論文の閲覧先サイトは、こちら

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