2012年10月1日月曜日

アメリカで学ぶ中国人留学生

先日、アメリカで東アジアに関係することを勉強している留学生らの交流会に参加した。

さまざまな分野で勉強する学生30人ほどが集まった。ほとんどの学生は日本、中国、台湾、韓国出身。今年、僕の在学している大学の大学院には、約1700人の留学生が入学したが、その8割以上が中国人だった。というわけで、ここに集まる学生も比較的、中国出身の若者が多い。

留学生はアメリカの法律上は、出身国に帰る予定の人という意味で「非移民」ということになっている。けれど、現象としては、ある国から、ある国へ移動している移民だ。
くわえて、アメリカに留学した外国人が「非移民」の想定に反して、出身国に戻らないケースも少なくない。戻らない理由は、経済的、政治的、社会的、文化的といろいろある。
専門的な知識や技術を持った人たちがアメリカに渡って、そのまま住み続けた場合、彼らの送金が出身国の経済を一部支えることもあれば、「頭脳流出(brain drain)」して人材を失うこともありうる。

というようなことを考えながら、その日出会った中国人学生らが、アメリカで学位をとったあと、どこで働くつもりなのか、聞いてみた。

ある学生は行政学を勉強中。「できたら、アメリカにとどまりたい。こっちの生活が好きだから」。将来の仕事は、政府関係やNPOなどで働きたいとのこと。「政府ってアメリカ政府ですか。アメリカの市民権がないと難しいんじゃない」と聞くと、「市民権はとろうと思えばとれますよ」とあっさり答え、アメリカ国籍への帰化も視野に入っているという。

別の学生は「とても難しい問題。私は社会運動を勉強しているから、自分の国ではなかなか仕事するのが難しいかもしれない。自分の国でもちゃんと安心して働ける場所があるなら、ぜひ帰りたいけど」。

この交流会ではない、別の機会で出会った学生は建築学を勉強中。その学生は「中国のほうがいろいろと建設事業を展開する土地がいっぱい残っているから、中国に戻って働くつもり」とのことだった。

ただ、全体としてはアメリカにとどまりたいと思っている学生がやや多いのではないかという印象を受けた。

この8月まで勉強していた日本の大学院でも、留学生のほとんどは中国出身の若者だった。おかげでいい友達もたくさんできた。日本学生支援機構によると、2011年5月1日現在、日本で学ぶ中国人留学生は8万7千人という。一方、アメリカ政府の国際教育研究所によると、アメリカで学ぶ中国人留学生は15万8千人で日本よりはるかに多く、留学生の出身国別ランキングも世界1位という。

アメリカまた日本は、それぞれ中国と経済摩擦や領土問題などで対立する一方で、実際には、かなり数の中国人留学生を積極的に受け入れている。もちろん、アメリカや日本から中国に留学する学生も多い。国家間の対立が目立てば目立つほど、こうした国境を越えた若者の移動と、それに伴う個人的な交流が多ければ多いほうがよいと思う。

※ちなみに、アメリカで学ぶ日本人留学生は、1997~1998年は約4万7千人で世界1位だったが、2010~2011年は約2万1千人で7位となっている。関連記事は、こちら

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