ヒマラヤ料理といっても、ぜんぜんピンと来ないので、店のサイトで事前にメニューを調べた。
どうやら「ヤク・チリ(Yak Chili)」というヤクの肉を使った料理が人気なようだ。
ヤクとはチベットやブータン、ネパールなどヒマラヤ山脈地域に生息するウシの仲間。現地の人々は2千年以上前からヤクを飼い、荷物や人を運んだり、その肉や乳を食べたりしてきたという。
店ではヤク・チリの他に、ネパールの蒸し餃子「モモ(momo)」とチキンカレー、ナンを注文した。
最初にモモがテーブルへ。日本人の口に合う餃子で、スパイスを加えたトマトソースにつけて食べる。
しばらくして、ヤク・チリとカレーが来た。
辛さは中くらいでお願いしたけど、どちらもかなり辛い。
ヤクの肉は脂身が少なく引き締まっているけど、ぜんぜん硬くない。特別なにおいもなく食べやすかった。
ヤクの肉をタマネギやピーマン、トマトと一緒に炒めたヤク・チリ |
しかし、このヤクの肉はどうやって手に入れているんだろうか。輸入かな。
会計のとき、店員に尋ねてみると、意外にも「コロラド州で育てています」という答えが返ってきた。
アメリカには世界各地の食べ物がそろっているけど、まさかアメリカ産のヤクがいるとは。
それと、ヤク・チリを含めて、トマトを使った伝統料理が多かった。
ヤクのアメリカ進出も興味深いけど、トマト(南米原産)の世界進出は規模が違うと改めて思った。
最後にチャイを飲んで店を後にした。
◇
自宅に戻り、再び料理店のサイトを見ると、開店のいきさつが紹介してあった。
この店は「タラ・グラン・ブラックが叶えた夢です。彼女はネパールの小さい山村に生まれ、8歳からネパールの伝統舞踊の訓練を始めました。その影響で、ネパールの伝統文化を生かしたレストランを開きたいと思い始めます。そして、ある日、ロサンゼルスで伝統舞踊を披露しているとき、ロサンゼルスの人々にネパールの文化を伝えたいという思いがこみ上げて」、開店に至ったという。
さらに、この店の利益の一部を寄付して、ネパールの故郷の学校校舎を立て直したい、とも書いてあった。実際その学校がどうなったのか分からないけれど、アメリカで稼いだお金を出身地に送ることは、移民の主な活動の一つだから、きっとタラさんも何かしら出身地の人々を経済的に支援しているんだろう。
店の雰囲気も店員の接客もよく、また行きたいと思う。
◇
ついでに、ヤク農家についても調べてみた。たしかにコロラド州にヤクを専門にした農場がある。ある農場サイトによると、ヒマラヤ山脈で生きているヤクと同じような質のヤクを育てるよう心掛け、繁殖用、ペット用、食用などで販売。注文が多く、2016年分まで売り切れ状態という。
・料理店「Tara's Himalayan Cuisine」のサイトは、こちら。
・ヤク農場のサイトは、こちら。
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