2014年8月9日土曜日

スウェーデン人移民の町、セコイア国立公園の麓に

アメリカで2番目に古い国立公園・セコイア国立公園に行った。
赤い木肌の巨木セコイアの森が有名で、世界各国から観光客が訪れる。
カリフォルニア州を縦断するシエラネバダ山脈の中にあり、ロサンゼルスからは車で北上して4時間半ほどで到着する。

日帰りでは運転で疲れてしまうだろうということで、前日の晩に妻と出発し、公園に近いカリフォルニア州中部の町ヴァイセリア(Visalia)で一泊した。

翌日の午前中はそこから15分ほど北の小さな町キングズバーグ(Kingsburg)に朝食を食べに行った。この町は19世紀後半にスウェーデン人移民が多く住み着いたことから、スウェーデンをテーマにした町おこしに取り組んでいる。主要産業は今も昔も農業だ。町の中心部には、スウェーデン風コーヒーポットの形をした給水塔があり、町のシンボルとして親しまれている。

朝食を食べた喫茶店の後ろに給水塔が見える。町の建物の一部はスウェーデン風だ。

そのすぐ近くにある喫茶店「Stockholm Bakery & Cafe」に向かった。ここではスウェーデン風の軽食が楽しめる。スモークサーモンのサンドイッチとサワークラウト(塩漬けにして発酵させたキャベツ)たっぷりのホットドッグを食べた。どちらも美味しかった。

スモークサーモンの量が多く食べ応えがあった。

喫茶店の向かい側にはスウェーデン輸入品店もあり、店員の女性はスウェーデンの民族衣装を着ていた。通り名の標識もスウェーデンの国旗と同じ青色と黄色で表示されており、スウェーデン語で「ようこそ」を意味する「VÄLKOMMEN」と書かれた垂れ幕がところどころに飾ってある。

スウェーデン語で観光客を歓迎する垂れ幕

現在は白人としてアメリカで生活している人々の多くは、キングズバーグに住み着いたスウェーデン人を含むヨーロッパ人移民の子孫だ。歴史家オスカー・ハンドリンは「移民こそがアメリカの歴史」と述べている。アフリカ人奴隷と先住民の歴史を忘れてはいけないが、アメリカで暮らす人々の大多数は17世紀以降に世界各地からやってきた移民とその子孫ということができる。

ラティーノやアジア人が多く暮らすエスニック・コミュニティでは、現在も移民が流入し、出身国の言葉が飛び交う。キングズバーグは、そういったコミュニティではないものの、ヨーロッパ人移民の歴史にふれることのできる町だった。


正午前にキングズバーグを出て、セコイア国立公園に向かった。標高2000メートル前後まで山道をくねくね登る。公園内にはいくつも散策道があり、観光客がハイキングを楽しんでいた。

駐車場に車を停めて、少し森の中を歩く。世界で最も体積が大きいとされるセコイアの巨木までたどり着いた。「シャーマン将軍の木」と名付けられている。記念撮影をする人々で木の前に列ができていた。付近にはセコイアの巨木がいつくも生えており、その多くは山火事で一部が焼けている。山火事は肥沃な土壌を作るなどの効果があり、セコイアの森の生態系を維持するうえで重要らしい。

「シャーマン将軍の木」は樹齢2300~2700年という。木の上部は死滅している。

その後、「モロ・ロック」(標高2050メートル)という山から突き出した巨大な岩場に車で向かった。岩に掘られた散策路を15分ほどかけて登る。息が切れる。岩のてっぺんから眺めた渓谷は絶景だ。

モロ・ロックの落下防止柵(写真左上)の下は断崖絶壁。この柵のさらに上まで岩場が続く。

次に「クレセント・メドー」という木々に囲まれた草原へ。白い花が一面に咲いてた。思ったよりも散策路が長くて迷いそうになったが、気持ちのいい森林浴を楽しむことができた。虫よけスプレーを持っていたほうがよりよいと思う。

クレセント・メドーの草原には小動物の巣などがあるから入ることはできない。

午後5時半。暗くならないうちに山道を下りる。途中、メスのミュールジカと思われる動物がいた。今回は見られなかったけど、クマも生息しているらしい。

車道付近を歩くシカ

ヴァイセリアでハンバーガーを食べてから、ロサンゼルスに帰った。

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