ある週末、ガーデナ市にある日本の有名百円均一ショップで流れていた曲は、篠原涼子の「Lady Generation」(1995年)だった。ロサンゼルスで暮らし始めてから、日本語はいつも妻と話しているけど、日本のポップミュージックを聞く機会はほとんどない。そんな日々の中で、とつぜん1990年代のヒット曲を聴くと、とても懐かしい。ガーデナ市には、日系人が多く暮らしており、日系食料品店や日本料理店もたくさんある。市長も日系人だ。
先月、ある歴史学関係のイベントで、ガーデナ市に住む日系人の年配の女性と知り合った。いろいろと日系人の歴史について教えてくれた。アメリカで生まれ育った日系二世の女性で、流ちょうな日本語を話す。日本に一時帰国した妻が和菓子を買って帰ってくれたので、先週、その女性にお土産として渡しに行った。不在だったので、手紙を添えて、女性の家のドアノブに和菓子の入った紙袋をぶら下げておいた。
◇
その後、近くにある焼肉店に妻と向かった。同市内に住む韓国出身の知り合いのおばさんが食事に誘ってくれた。おばさんが大家をしている下宿で、僕の日本の大学院の先輩が今年6月まで1年間、暮らしていた。その縁で、先輩の帰国後もよくしてくれる。ありがたい。おばさんは日本にも1990年代中頃まで20年近く暮らしていたので、日本語も話せる。
ガーデナ市では、1980年代以降、韓国人移民も増えており、韓国料理店も多い。
この前から、気になっていた焼肉店「고향갈비(故郷カルビ)」に連れて行ってくれた。
最近、下宿を始めた日本人の18歳の青年も一緒に来た。
庶民的な店内にはテーブルが20台ほどある。平日の午後5時だけど、たくさんの客がいる。韓国系だけでなく、アフリカ系やラティーノの客も多い。
僕らが席につくと、おばさんが「A세트 네개 주세요 (Aセット、四つください)」と注文してくれた。Aセットは薄くスライスした牛肉、鶏肉、豚肉の食べ放題セット。それに、スライス状のモチやサラダも付いてくる。値段を見ると一人10ドル弱だった。焼き肉にサラダとスライスモチを包み、焼肉用の韓国味噌を少しつけて食べると抜群においしい。この店の人気の理由が分かった。
食事中、韓国と日本とアメリカの3ヶ国で暮らしてきたおばさんが、それぞれの国の文化や経済の違いについて、自身の経験から話してくれた。ガーデナ市や南隣のトーランス市には、日本人や韓国人が多く暮らしており、おばさんにとって暮らしやすい環境が整っているらしい。今後もアメリカで暮らし続けていく予定のおばさん。「民主主義と平等。これがいちばん大事」と話していた。
しばらくすると僕の携帯電話が鳴った。「ハロー」と出ると、日本語が返ってきた。日系人の女性が、お土産のお礼に電話をかけてくれた。
カリフォルニア州と一口に言っても、地域間の特色の違いは大きい。ガーデナ市の場合、100年以上前に暮らし始めた日本人の子孫や、30年ほど前から増え始めた韓国人移民、またその他のマイノリティの影響が絡まりあって、今日の地域社会ができあがっている。
2010年の国勢調査によると、市内人口約5万9千人の主な人種構成は、アジア系が26.2%、白人が24.6%、アフリカ系が24.4%、その他の人種(some other race, SOR)が18.9%となっている。
アメリカの国勢調査では、人種カテゴリーに関する質問とは別に、ヒスパニック・ラティーノかどうか問う項目もある。
ガーデナ市のヒスパニック・ラティーノ人口は、10年前の調査時に比べて2割増えて、市内人口の37.6%となっている。彼らの多くは、自分たちの人種カテゴリーとして「白人」または「SOR」を選ぶ。
これらを考慮すると、ガーデナ市は、アジア系、アフリカ系、ラティーノの人々が万遍なく暮らしているといえる。ちょうど焼肉店の客層と一致する。焼肉店では、韓国味噌の入った小皿の他に、赤いソースの入った小皿があった。味見すると、トルティージャチップ用サルサの味がして、なんだこれは、と思っていたけど、ラティーノが多い客層に合わせて提供していたのかもしれない。次回、その焼肉店に行ったら、店員に質問してみよう。
ガーデナ市では、1980年代以降、韓国人移民も増えており、韓国料理店も多い。
この前から、気になっていた焼肉店「고향갈비(故郷カルビ)」に連れて行ってくれた。
最近、下宿を始めた日本人の18歳の青年も一緒に来た。
庶民的な店内にはテーブルが20台ほどある。平日の午後5時だけど、たくさんの客がいる。韓国系だけでなく、アフリカ系やラティーノの客も多い。
僕らが席につくと、おばさんが「A세트 네개 주세요 (Aセット、四つください)」と注文してくれた。Aセットは薄くスライスした牛肉、鶏肉、豚肉の食べ放題セット。それに、スライス状のモチやサラダも付いてくる。値段を見ると一人10ドル弱だった。焼き肉にサラダとスライスモチを包み、焼肉用の韓国味噌を少しつけて食べると抜群においしい。この店の人気の理由が分かった。
食事中、韓国と日本とアメリカの3ヶ国で暮らしてきたおばさんが、それぞれの国の文化や経済の違いについて、自身の経験から話してくれた。ガーデナ市や南隣のトーランス市には、日本人や韓国人が多く暮らしており、おばさんにとって暮らしやすい環境が整っているらしい。今後もアメリカで暮らし続けていく予定のおばさん。「民主主義と平等。これがいちばん大事」と話していた。
しばらくすると僕の携帯電話が鳴った。「ハロー」と出ると、日本語が返ってきた。日系人の女性が、お土産のお礼に電話をかけてくれた。
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カリフォルニア州と一口に言っても、地域間の特色の違いは大きい。ガーデナ市の場合、100年以上前に暮らし始めた日本人の子孫や、30年ほど前から増え始めた韓国人移民、またその他のマイノリティの影響が絡まりあって、今日の地域社会ができあがっている。
2010年の国勢調査によると、市内人口約5万9千人の主な人種構成は、アジア系が26.2%、白人が24.6%、アフリカ系が24.4%、その他の人種(some other race, SOR)が18.9%となっている。
アメリカの国勢調査では、人種カテゴリーに関する質問とは別に、ヒスパニック・ラティーノかどうか問う項目もある。
ガーデナ市のヒスパニック・ラティーノ人口は、10年前の調査時に比べて2割増えて、市内人口の37.6%となっている。彼らの多くは、自分たちの人種カテゴリーとして「白人」または「SOR」を選ぶ。
これらを考慮すると、ガーデナ市は、アジア系、アフリカ系、ラティーノの人々が万遍なく暮らしているといえる。ちょうど焼肉店の客層と一致する。焼肉店では、韓国味噌の入った小皿の他に、赤いソースの入った小皿があった。味見すると、トルティージャチップ用サルサの味がして、なんだこれは、と思っていたけど、ラティーノが多い客層に合わせて提供していたのかもしれない。次回、その焼肉店に行ったら、店員に質問してみよう。
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