2013年4月23日火曜日

アメリカの医療保険、高い診察料を実感

妻が移民支援の英会話教室に通い始めて8ヶ月になる。
友だちも増えている。
最近はタイ人の友だちに、おすすめのタイ料理店に連れて行ってもらった。

「おいしかった」と妻は満足して帰って来たが、翌日から、何やら手足にぶつぶつが出てきた。
かゆみもある。いわゆる、じんましんの症状だ。
はっきりとした原因は分からないけど、彼女だけに症状が出ていることから、きっとタイ料理が原因じゃないかという話になった。料理の中に、それまで食べたことのなかった貝があったようだ。
ネットで見てみると、同じような報告をしている人がちらほらいる。

3日ほど様子をみたが、かゆみもひどくなってきたので、ネットで調べた抗ヒスタミン剤の市販薬を購入した。しかし、一日たっても、あまりよくなっていないので、病院に行くことにした。

ただ、病院に行くとなると、うまく英語で症状を説明できるか心配になる。

加入している保険会社のサイトから、保険会社が提携している医師を探すと、近所に日本人の名前の女性医師がいることがわかった。医師の説明欄にも、英語のほかに「Japanese」と「Spanish」が話せます、と書いてある。
アメリカに多くの国から移民が集まっているので、診察で使える言語も医師の選択の重要な要素となる。

さっそく翌朝になって、その女性医師が所属している病院に電話。しかし、「今週はいません」とのこと。妻も、早く適切な処置を受けたいということで、別の医師の個人医院に電話。「今日の午後1時15分はどうでしょう」ということで、そこで診察を受けることにした。


ふだんは妻の方が僕よりだいぶ健康なので、まさか彼女が先に病院に行くとは思っていなかった
妻も医療保険に入っていたので支払いについては何となく安心していたが、いざ病院で診察を受けるとなると、具体的にどのくらいの金額をどのような方法で支払うのかまったく分からず、不安になってきた。

とりあえず、医院に行った。この医院は、いろんな個人医院が入居している病院ビルの6階にある。妻一人でもなんとか説明できる英語力はあるけど、もしものため、ということで、僕も一緒に診察室へ。10分ほど待つと、若い女性医師が入ってきた。症状を話す。

「よくある症状ですね。飲み薬と塗り薬を出しますね。2週間たって、まだ治らなければ、また来てください」

貝やスパイスは一般的にアレルギーの原因になりやすいことや、食べものアレルギーは大人になってから発症することもあることなども話したが、診察自体は10分ほどで終わった。女性医師の名前からユダヤ系かなと思っていたけど、見た感じからも、おそらくユダヤ系アメリカ人の先生と思う。

そして、肝心のお勘定。
受付の若い女性は「あなたの保険カードに、co-insuranceかco-paymentか情報が入っていないので、こちらから保険会社に連絡して、支払内容が分かり次第、ご自宅に手紙を送りますね。だから、今日は何も支払わなくても大丈夫です」と笑顔で言われた。

けど、この説明ではよく分からず苦笑い。ここは確認しとかないといけないということで、いろいろ聞いたところ、この10分の診察のために、230ドルほど支払わないといけない事実が分かった。日本の感覚からすると、めちゃくちゃ高い。

妻の保険の場合、年間350ドルまでは自己負担となっている。この自己負担分を「deductible」という。その金額を超えた医療費は、基本的には保険会社負担となる。というわけで、大きな手術をしたり、一年に何回も診察を受けたりする人には、年間350ドルだけでいい、という理解になる。逆に、今回、初めて医療機関を利用した妻は、230ドル満額を自己負担しないといけない、ということらしい。

しかし、実際には350ドルの自己負担分を払い終えた後も、毎回の診察料の数十%を自己負担しないといけない。これを「co-insurance」という。
また、毎回の診察ごとに、一定金額を患者自身が支払うことを「co-payment」という。残りの費用は保険会社がカバーする。

いずれにせよ、なんとなくややこしい。ただ、ややこしさは生活していれば、いずれ慣れる。やはり考えさせられるのは、この診察料の高さだ。

アメリカ政府の健康管理局(The Agency for Healthcare Research and Quality)によると、2008年の平均的な診察料は一回199ドル。というわけで、妻の診察料が特別高いわけではなく、そもそも診察料の相場が高いわけだ。オバマ大統領が医療制度改革に取り組んだ理由も分かる。

おそらく日本では「日本の診察料は低すぎる」という医療従事者もいるだろうけど、利用者としては現在の日本の診察料は良心的だと実感した。


診察を終えてから、近くの喫茶店に行った。ジェラートが有名だけど、いつもどおりコーヒーだけ頼んだ。
しばらくすると、女性カメラマンが来店して、宣伝用の写真を撮り始めた。ガラスの器にもったジェラートをばしゃばしゃ撮る。撮影し終えたジェラートは、店長の厚意で、そのときたまたま店内にいた客にふるまってくれた。
カシス、リンゴ、パイナップルの三種類。ふつうに買うと7.5ドルとけっこう高いが、食べてみて納得。フルーツをそのままアイスにしたという感じで、風味も食感もすばらしい。

店を出るときに、レジのガラス瓶にチップを入れた。
いろいろ今日はあったけど、いいこともあるな、と二人で話して帰路についた。

※追記。じんましんは一週間ほどして治った。その後、保険会社から今回の支払金額が通知された。もともとの請求金額は150ドルだったけど、保険会社を通した約50ドルの割引があって、実際の支払いは約100ドルになるとのこと。医院で言われた金額の半額以下なので、とてもよかった。

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