昭和と平成という区別は人為的なものだけど、この電子辞書の高機能を「えげつない」と感じるにつけ、自分は昭和生まれやな、と時代を持ち出したくなる。おそらく、平成24年に生まれた子どもたちは、この辞書にえげつなさは一切感じないだろう。
さて、こうした電子辞書は、単純に機械のデータ保存や処理の能力が高いだけでなく、グローバル化した世界の在り方と相通じるところもある。
国際移住機関によると、生まれ育った国を離れて暮らす人々の数は約1.9億人。1965年から1990年にかけて、約4500万人も増えたという。
その国の公用語と異なる母国語を話す人々がどんどん増えるにつれて、「ひとつの国=ひとつの言語」という関係(思い込み)はどんどん崩れていく。
移民の国である米国では、都市部を中心に「米国=英語、スペイン語、中国語・・・」という状況だろう。家庭で英語以外の言葉を話す人々は2007年の時点では、スペイン語が飛び抜けて多い約3450万人、次いで中国語が約250万人、タガログ語が約150万人と続く。ちなみに、日本語を話す人は約46万人と思っていたより多かった。
僕自身も学部生だった2004~2005年、カリフォルニア州のリバーサイドという町に交換留学生として暮らし、日常的に英語とスペイン語、日本語の3言語を使っていた。
ルームメイトと暮らした学生住宅と大学では英語、スーパーやハンバーガー店ではスペイン語、日本人留学生とは日本語という感じで。
そして今夏からの大学院留学では、ハングルも使えるときは使いたい。ロサンゼルスには、韓国からの移民が多く暮らすコリアタウンという地域がある。ハングル表記の飲食店、銀行、病院、教会・・・が集まっている。僕の目当ては飲食店だけど、なにかしらハングルが使える機会があれば、できるだけ使いたい。そんなわけで、電子辞書にハングル機能も加えた。
ロサンゼルスはグローバル化の影響を強く受けている都市。韓国人移民が経営する縫製工場で中南米出身の移民が働く、というケースは珍しくない。「英語、スペイン語、ハングル」を備えた僕の電子辞書は、グローバル都市ロサンゼルス仕様といえる。
ロサンゼルスという一つの町に様々な言語を話す移民集団が入ってくるように、この一つの電子辞書に異なる言語が入っていく。それ何語辞書?、と聞かれたら、ロサンゼルス諸語辞書とでも答えようか。
英語、スペイン語、ハングルで書かれたプロテスタント系教会の日曜礼拝案内板=ロサンゼルス・コリアタウン、2011年6月撮影 |
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