だから、ロサンゼルス(Los Angeles=天使)にしても、サンフランシスコ(San Francisco=聖フランシスコ)にしても、スペイン語の地名がかなり多い。
地名だけではなく、スペイン語を話す人もものすごく多い。
昨年、ロサンゼルスに行ったとき、ダウンタウンのど真ん中の食料品店で、カットフルーツを買った。
中南米系の中年の女性店員に「スペイン語、話しますよね」と声をかけると、にこっと笑って「スペイン語しか話しません」と答えた。
つまり、スペイン語が母国語の客も多いから、「しか」で充分やっていけるというわけだ。
実際、ダウンタウンを歩くと「しか」まではいかないにしても、スペイン語「だけ」で十分にやっていける。
そのときは、近くのホテル「Stay」に宿泊した。ここはデザインホテルでかっこいいし、朝はコーンフレークが食べ放題なので気に入った。
そこのフロント従業員の若い女性たちはいつもスペイン語と英語が混ざった「スパングリッシュ」を話していた。清掃アルバイトの20歳代の男性はグアテマラ出身。米国には5年前に来て、「平日は英会話の学校に通っているけど、けっこう難しい」とのこと。たしかに、スペイン語で生活できる環境で英語を勉強するのは難しいだろう。
米国にはスペイン語圏だけでなく、日本も含め、世界中から人がやってくる。そういう意味では、米国はなかなか「英語漬け」にさせてくれない英語圏だ。
ホテル周辺には髪飾り店、おもちゃ店、インド製品店、下着店、置物飾り店、CD店などがひしめき、商品の価格もTシャツ5枚10ドルやDVD1枚2ドルとかなり安い。通りを歩く客はほとんど中南米系の人々だった。
こうした中南米系の人々、いわゆる「ヒスパニック/ラティーノ」は21世紀に入って、米国最大のマイノリティといわれている。2010年の国勢調査によると、彼らの人口は約3530万人(12.5%)に達し、従来は最大のマイノリティだったアフリカ系の約3460万人(12.3%)をしのぎ、さらに今後増える傾向にある。
ロサンゼルス郡には今日、ヒスパニック/ラティーノが約470万人に住んでおり、郡としては全米最大だ。メキシコがスペイン領だった18世紀に「ロサンヘレス(Los Angeles)」と名づけられた集落は、その後、19世紀に東海岸から来たアメリカ人に「ロサンジェルス」と呼ばれ、21世紀に「ロサンヘレス」に戻っていくのだろうか。
ダウンタウンにそびえたつワールド・トレード・センタービル(写真左)や大手国際法律事務所(同左)=ロサンゼルス、2011年6月撮影 |
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