2014年7月5日土曜日

独立記念日と非合法移民、アメリカの平等とは

7月4日はアメリカ独立記念日。1776年のこの日、イギリスによる植民地支配から離脱するため、「すべての人は平等」とうたった独立宣言が採択された。アメリカ各地で花火大会などが開かれるとともに、家族や友人と集まって楽しむ日になっている。

僕が住むアパートでは管理人さんがランチパーティを開いてくれ、僕と妻を含む住民11人が参加した。管理人さんも住込み管理人なので住民の一人だ。

アパート中庭のテーブルに用意されたコーヒーとベーグル、スイカなどを食べながら昼前から夕方近くまでおしゃべりした。僕らも日本の友人からお土産にもらった甘栗を持っていった。中庭にはプールもあり、何人かはプール遊びも楽しんだ。

管理人さんは軽食のほかにきれいな花も用意してくれた。

アパートには僕以外にもう一人、大学院の博士課程で勉強している白人男性がいる。彼も顔を出し、お互いの勉強の進み具合を話した。彼の妻はインド出身。高校生のとき、単身アメリカに留学し、そこで彼と知り合い、それ以降、アメリカで暮らしている。彼らとアメリカ生活について話し、まだまだ白人中心の社会だけど外国人を受け入れる社会基盤は他の国に比べると整っているとかいないとか話しあった。

今日のアメリカでは外国出身でもアメリカの政治にある程度深く関わることができる。例えば、カリフォルニア州の前知事はオーストリア出身の映画スター、アーノルド・シュワルツネッガー。僕も昨年、香港出身の若い男性に会い、彼がアメリカの国務省(日本の外務省に相当)で働きたいと言っていたことを印象深く覚えている。そんなことを話した。

インド出身の彼女は「ロサンゼルスの空港でも入国審査の職員は外国にルーツがある人が多いでしょ。アジア人が多いよね。そういうのがいいよね」と言った。ついこの間、僕らがアメリカに再入国したときも、入国審査をした男性はアクセントのある英語を話すアジア系の男性だった。

彼女が「なんだか(外国出身の)私のほうが愛国的になってるみたい」と笑いながらいうので、「アメリカでは移民の方が愛国的になることはよくあると思うよ」と相槌を打つと、彼女の夫も「確かに移民の愛国心はあるね」と言っていた。彼女は「インドは好きだけど」と断りつつも、女性の権利などの点で、アメリカの方が住みやすい理由が多いと話していた。


そんな独立記念日のロサンゼルス・タイムズのトップニュースは非合法移民問題だった。

カリフォルニア州ムリエッタ市内にある国境警備施設周辺で、移民支援グループと移民反対グループが互いにプラカードを掲げて衝突している。

昨年10月以降、グアテマラやエルサルバドル、ホンジュラスなど中央アメリカ諸国から子どもたち約5万2千人が出身国内の犯罪組織による暴力から逃れるため、アメリカに不法入国し、当局に拘束されているという。その人数が多いため、強制送還の手続きがテキサス州やカリフォルニア州の複数の施設で行われている。

今回、テキサス州で拘束された非合法移民の親子連れの一部がムリエッタ市内の施設に送られることになった。そのことを知った100人以上の移民反対グループが非合法移民を連れたバスの通行を防ごうと抗議活動を始めた。

そこに移民支援グループも加わり、アメリカ社会における非合法移民問題の深刻さを象徴するような状況に至っており、メディアが大きく報じている。

移民支援グループに参加した女性は「私たちは7月4日(独立記念日)とメルティングポット(いろいろな人が混ざり合って生きるるつぼ)としてのアメリカを祝っているの」と記者の質問に答えている。

ロサンゼルス・タイムズのコラムニスト、スティーブ・ロペスは「中央アメリカとメキシコの経済的また社会的災難の理由は複雑だが、アメリカはそうした地域の失敗に歴史的に加担してきた」ことや「(そうした地域で生産された)薬物をアメリカ社会が求め続けてきた」ことを忘れて、非合法移民に「自分の国に帰れ」と叫ぶだけの人々は恥を知るべきだと批判している。

「すべての人は平等」とした独立宣言が採択されてちょうど238年。非合法移民問題はアメリカで暮らす人々にこの社会における平等とは何を意味しているのか問いかけている。

ブログを書いている部屋の外からは、独立記念日を祝う花火の音が聞こえる。

・ロサンゼルス・タイムズのコラムは、こちら
・ハフィントン・ポストの関連記事は、こちら

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