非合法移民とはビザなどの書類を持たず、米国に入国または滞在している人々。その多くは米国で働く低賃金労働者というのが実態だが、「不法移民」と表現されることも多い。
僕が訪ねたロサンゼルスの事務所では、永住権や市民権の取得方法を中心に移民の相談を受けている。
午前10時から午後6時まで、相談コーナーには、ひっきりなしに人が訪れ、電話が鳴る。
若いスタッフ2人だけで対応するので、もちろん休む間はない。
米国内で1100万人に達するという非合法移民。
その多くが中南米出身の低賃金労働者だ。米国内の工場などで働いている。
この団体の事務所に来る相談者の多くも、そういう人々だ。
その日、ある男性がひまわりとバラ各20本ほどで作った大きな花飾りを持ってきた。
団体事務所へのプレゼント。
帰り際に「頼りにしてるよ」とスタッフに声をかける。
みな顔がほころぶ。
この男性も非合法移民の一人だ。
そこでは穏やかな表情の彼らも、強制送還の恐れから、子どもの学校や病院などに行きたくても行けないことがあるという。
彼らが集うこの空間は、米国社会の格差を象徴しているともいえる。 同時に、この空間が活気にあふれていることが、この社会の魅力でもある。
今月、この団体がホームページをリニューアルした。
ここで英語や社会の授業を受けて、米国籍を取得するための試験に合格した人たちのインタビュー動画も投稿されており、エルサルバドル出身で60歳前後の男性が「ここの支援は本当に頼りになるよ」とスペイン語で満足げに話している。
米国人として生まれる子供もいれば、この男性のように半世紀以上生きてから米国人になる人もたくさんいる。
2011年は69万4193人が帰化して、米国籍を取得したという。1年で島根県の人口と同じくらい人が帰化したわけだ。メキシコ出身者が最も多い9万4783人で、エルサルバドル出身者は1万3834人で11位。意外かもしれないが、12位はおとなり韓国出身者で1万2664人だ。
作家の石川好氏が表現したように、たしかに米国は「アメリカ人になろうとしている人間」が多い国である。そして、そうあり続けることが、この国の活力の源泉でもある。
一方で、膨大な数の移民や帰化は、この国の人種エスニシティの構造を大きく変えていき、移民の受入をめぐって国内に意見対立を生み出してきた。このような米国のジレンマは、移民が止まれば活力も失うという逆のジレンマと表裏一体だ。
また、それが「ジレンマ」といえるかどうかは別として、同じような意見対立は、移民受入国であれば、どの国でも、もちろん日本でも抱えている。
いずれにせよ、自由貿易を通した経済格差が移民送出国と米国の間に存在する限り、米国への移民の流入は止まらない。
また、それが「ジレンマ」といえるかどうかは別として、同じような意見対立は、移民受入国であれば、どの国でも、もちろん日本でも抱えている。
いずれにせよ、自由貿易を通した経済格差が移民送出国と米国の間に存在する限り、米国への移民の流入は止まらない。
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